スポーツマネジメントをテーマとした本連載、今回はその「スポンサーとアスリートの関係」について考える。

アスリートになぜ「スポンサー」が必要か

 衝撃的なKOは、ボクシングファンのみならず、ライト層にもその名が浸透するきっかけになったのではないだろうか。

 ボクシングのWBC世界バンタム級王者の中谷潤人選手(M.T)が10月14日、東京・有明アリーナで行われた防衛戦で、同級1位ペッチ・ソー・チットパッタナ(タイ)に6回2分59秒TKO勝ちした。

 キャリアで一度もダウンを喫したことがない相手に対し、強烈な連打を打ち込む圧巻のKO劇。自分たちのクライアントの選手をほめ過ぎるのはマネジメントとしていかがなものかとは思うけれど、中谷選手の実績、能力は世界トップレベルだ。

 今回はそんな実力を備えたトップ選手のマネジメントとスポンサー獲得について考えてみたいと思っている。

 スポーツマネジメントにおける重要な仕事のひとつがスポンサーの獲得になる。

 プロのボクサーはチームに所属しているわけではないので、毎月支払われる給料というものがない。よく知られた収入は、試合ごとに支払われるファイトマネー。出場給のようなもので、ビッグマッチであればあるほど、その金額は高くなる。ということは、数をこなすほどに「収入は増える」のだが、その競技性から年に何試合も行うことは難しい。

 必然、他の収入源が必要となり、そのひとつがスポンサーになる。企業(あるいは個人的に行われることもある)が経済的な補助をする。お金だけではなく、例えば練習場所の提供など環境面でサポートをすることもある。

 スポンサードする企業からすれば、選手をサポートしながらそのアスリートが活躍することで自社の商品が売れたり、会社の名前を知ってもらえる。

 そういったwin-winな関係を作っていくのがマネジメントになるのだ。