ジャニーズ問題でテレビをはじめとするメディアに厳しい視線が注がれている(写真:アフロ)

ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏による所属タレントへの性加害についてメディアが連日、大きく取り上げている。しかし、以前は疑惑が報道されても追随するメディアが限られていたこともあり、新聞やテレビに対する不信感が募っているようだ。メディアの「ご都合主義」は、新聞離れやテレビ離れの加速にとどまらず、魅力ある企業としてメディア、とりわけジャーナリストを目指そうとする若者の減少につながるのではないかと危惧している。

(岡部 隆明:就職コンサルタント、元テレビ朝日人事部長)

「新聞購読の学生は1%」と新聞学科の先生が嘆く

 先日、都内の某大学を訪れ、就職先としてマスコミやエンターテインメント関連企業を志望する学生が多い学部で教鞭を執っている5人の先生と意見交換しました。

 最近の大学生の特徴や傾向を聞いてみたところ、全員が「娯楽志向」と断言しました。大学生にとってはYouTubeが身近な存在で、YouTuberになるために映像技術を習得したい人が多いそうです。

 そして社会に出て働くことを考える段階になると、テレビ番組やCMの制作、映画製作、音楽ライブの運営、ドラマや舞台の美術など、クリエイティブな仕事を志望するとのことでした。

 一方、娯楽志向の裏返しとして「ジャーナリズムへの関心の低下が著しい」と先生方が嘆いていたのは印象的でした。マスコミに興味がある学生たちが集まっているにもかかわらず、テレビをほとんど見ず、新聞を全く読まず、ニュースに触れないで生活している学生が散見されるそうです。

 中には「上智大学文学部新聞学科の学生で『新聞を購読しているのは1%』だと、上智大学の先生から聞いて驚いた」という話もありました。「1%」という数字が調査に基づくものか、それとも先生が体感で言っているのかはわかりませんが、新聞学科の学生ですらほとんどが購読していないことは間違いないようです。