「見ざる、聞かざる、言わざる」だった放送局
事務所と放送局の動向は引き続き注目されますが、スポンサーがどういう対応をするのかについても関心があります。
不祥事やトラブルに対して非常に潔癖なスポンサーがあると聞いたことがあります。スポンサーによって、企業理念やスタンスの差異はあるでしょうが、この問題の展開次第で、スポンサーの対応も変わってくると思います。
ジャニーズ事務所の問題について、放送局は日光東照宮の三猿のように「見ざる、聞かざる、言わざる」のスタンスを貫きたかったことでしょう。しかし、そうはいかない状況になって、これからの対応に厳しい視線が注がれることになります。
世論が騒いでも明日の放送に支障はないけれども、タレント事務所やスポンサーに反感を買ってしまったら、放送に影響が出て、収益も大きな打撃を食らってしまう・・・だから忖度するという「ご都合主義」も世間からすでに見抜かれています。
ジャーナリスト志望者の減少とジャニーズ事務所問題に対するメディアの不作為。これらはそれぞれ「点」としての事象ですが、「線」で結ばれると不幸でしかないと憂慮します。なぜなら、人材獲得競争が激化する中で、メディアに存在価値を見出せず、有能な人材が集まらないからです。本来あるべきジャーナリズムの機能について、メディア関係者はあらためて自らを問い直さねばなりません。