テレビ離れはネットやスマホの普及だけが原因なのか(写真:アフロ)

元タレントの上岡龍太郎さんが亡くなった。笑福亭鶴瓶さんとの絶妙なトークが際立つ『鶴瓶上岡パペポTV』など、上岡さんの卓越した話術に魅せられた人は多いだろう。しかし、現在のテレビでは、そんな話芸とは程遠いトーク番組があふれている。平板な「おしゃべり」ばかりが増えたことが「テレビ離れ」に拍車を掛けているのではないか。もう一度、テレビ本来の醍醐味である「映像の力」という原点を思い出してもらいたい。

(岡部 隆明:就職コンサルタント、元テレビ朝日人事部長)

「HUT」と「PUT」の下落が止まらない

 テレビ局に長年勤めた1人として、いわゆる「テレビ離れ」は大変残念に思っています。後輩たちとは今でもよく話しますが、最近、営業経験者が異口同音に嘆く言葉があります。

「『HUT』と『PUT』の下落が止まらない」

 テレビを見ている世帯の割合を表す「HUT」(Households Using Television)と、テレビを見ている人の数を表す「PUT」(Persons Using Television)が2020年頃から急落しているというのです。

 インターネットやスマートフォンの普及を背景にしながら、コロナ禍でストリーミングサービスの利用が増えたことが影響していると言われています。「HUT」も「PUT」もリアルタイムのテレビ視聴の時間を測る尺度であり、その下落は放送局にとって広告出稿の減少に直結する悩ましい事態です。

 各種の調査からもそれは明らかです。

 博報堂DYメディアパートナーズの「メディア定点調査2023」によると、人々(15~69歳の男女629サンプル)が1日に「携帯電話・スマートフォン」に接触する時間は151.6分です。テレビ、新聞、雑誌、携帯・スマホなどメディア全体の接触時間が443.5分なので3分の1以上を占めていることになります。

出所:博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所「メディア定点調査2023」
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