生成AIによるプロパガンダ「スロパガンダ」が大きなリスクに(筆者がReveで生成)

(小林 啓倫:経営コンサルタント)

 プロパガンダの語源となったラテン語「propagare」には、「広める」や「繁殖させる」という意味があるそうだ。そこから転じて、特定の主張や思想を広め、世論や行動を誘導するという意味が生まれた。

 このプロパガンダに、新たな派生形が生まれようとしている。その名は「スロパガンダ(slopaganda)」。生成AIを利用したプロパガンダ行為を指す言葉として定義されたものだが、いったい従来のプロパガンダとは何が違うのだろうか。

「スロパガンダ」の定義

 オランダのティルブルフ大学の研究者らが、スロバガンダとは何かをまとめた論文を発表している。それによると、スロバガンダとは彼らの造語で、「スロップ(slop)」とプロパガンダを組み合わせた造語である。

 では、「スロップ」とは何か。論文によれば、この言葉は生成AIが生み出す、大量かつ低品質なコンテンツを指す。

 もともとスロップは英語で「汚水」「残飯」などを意味し、近年では「価値のないもの」の例えとして、ネット上で使われるスラングとなっていた。それが転じて、「AIによる低品質コンテンツの氾濫」を指してスロップと呼ぶ例が出ていたそうだ。

 要するに「生成AIが垂れ流すスパム」がスロップと言えば分かりやすいだろう。このスロップを駆使して実行されるプロパガンダ、それがスロパガンダである。