
日本のGDP(国内総生産)の実に22%を占める、建設・不動産・住宅の3業界。日本経済を支えるこれら巨大産業が、今「変革のタイミング」を迎えている。本連載では『「建設業界」×「不動産業界」×「住宅業界」Innovate for Redesign』(篠原健太著/プレジデント社)から、内容の一部を抜粋・再編集。異業種に比べてDXやGXの面で後れを取る3つの業界に求められている、産業構造の「リデザイン」について考える。
今回は、不動産開発の資金調達方法の多様化、異業種企業の参入による不動産を活用した新しい価値創造など、最新動向について解説する。
新たなる資金調達法を手にして、異業種からの参入に対抗する

不動産開発における資金調達法は、ますます多様化しています。REIT(不動産投資信託)も普及し、現在、上場REIT数は50を超えます。
また、事業者が投資家を募って資金を集め、共同で不動産投資を行う「不動産クラウドファンディング」もかなり浸透してきているのです。
特にCREALは自社でファンドを保有し、他社物件も取り扱うことで、市場においてポジションを確立しています。
しかしながら、大手のデベロッパーについては「小口投資を募る旨味」がマーケティング観点以外にあまりないため、参入が進んでいない状況です。
さらに不動産投資の新しい選択肢として、ブロックチェーン技術を活用した「不動産セキュリティ・トークン」と呼ばれる、デジタル化された金融商品(有価証券)も登場しました。
そして、この不動産セキュリティ・トークンを活用した資金調達法を「不動産STO(セキュリティ・トークン・オファリング)」と呼ぶようになっています。そして、2024年8月時点で30強の物件からセキュリティ・トークンが発行されているのです。この普及に向けては「Progmat」や「ibet for Fin」などが、複雑なブロックチェーン領域において、プラットフォーマーとして活動しています。また、東京都はセキュリティ・トークン普及に向けた助成金を用意しているのです。