写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ

 戦後の成長を支えた「機械工業」は、技術の粋を集めた日本のものづくりの象徴であり、今なお大きな可能性を秘めている。本稿では『機械ビジネス』(那須直美著/クロスメディア・パブリッシング)から内容の一部を抜粋・再編集。さまざまな産業における機械ビジネスの真価を探る。

 建設機械業界が直面する社会課題や、DX化の最新事情とは? コマツが導入する遠隔操作システム「Smart Construction」や日立建機のフル電動ダンプトラックなどを例に紹介する。

建設機械の自動化・遠隔操作はここまで進んでいる

機械ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)

 日本では台風・豪雨・洪水・土砂災害・地震・津波・火山噴火などによる災害が発生しやすく、近年の異常気象や地殻変動によって、激甚化が進んでいます。そのため、国土強靱化への対応を強化する必要があり、災害に強い社会を構築するためには建設機械の存在が必要不可欠です。

 その一方、建設機械業界は他の業界と比べても高齢化率が高いと言われ、若手の採用競争も激化しています。

 建設機械のオペレーターなど、建設事業で活躍する人材の不足が深刻化している上、国も働き方改革の一環として長時間労働の是正を進めています。深刻な労働力不足の問題を解決しながら、現場の生産性を向上するということは、「人手をかけず、少ない労働時間で最大の成果を挙げなければならない」ということです。

 こうした背景から、現在ではデジタル技術を活用し、建設施工の自動化・自律化・遠隔化技術の開発が大手建設企業や建設機械メーカー、ソフトウエアベンダーを中心に進められています。社会課題を解決に導く鍵は、DXの活用です。

 建設機械が活躍する現場に求められるのは、事故のない安全な現場です。そこでデジタル技術を活かし、作業中の危険行動の通知や、位置情報と行動情報の連携、デジタル上での最適な施工手順のシミュレーションなど、活用の幅が広がっています。