写真提供:新華社/共同通信イメージズ
戦後の成長を支えた「機械工業」は、技術の粋を集めた日本のものづくりの象徴であり、今なお大きな可能性を秘めている。本稿では『機械ビジネス』(那須直美著/クロスメディア・パブリッシング)から内容の一部を抜粋・再編集。さまざまな産業における機械ビジネスの真価を探る。
電動で垂直離着陸が可能なeVTOL(空飛ぶクルマ)や、自動運転技術を活用した物流の自動化が進んでいる。人手不足が深刻化する中、日本はこれらの技術をどう社会実装しようとしているのか。
モビリティの変革と空飛ぶクルマ「eVTOL」
『機械ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)
現在、注目されるモビリティサービスの1つに、人やモノが移動する手段として、垂直に離着陸ができる電動の飛行機体「eVTOL(イーブイトール:Electric Vertical Take Off and Landing aircraft)」が挙げられます。
eVTOLは、「空飛ぶクルマ」や「エアタクシー」として認知されつつあります。この分野は将来、大きな市場へ成長する可能性があるとの見方も多く、カーボンニュートラルの実現に向け、燃費のいい機体の導入や、従来機材から省燃費機材への更新が見込まれています。
eVTOLのメリットは、滑走路が不要で騒音が少なく、駆動する際に温暖化ガスを出さない上、コストがヘリコプターと比較して安価であるといった点にあります。日本でも、都市部での送迎サービスや離島への移動手段、緊急時の救急搬送などを見据えて、政府では2030年代にeVTOLの本格導入を目指しています。
よく、「eVTOLはヘリコプターとどこが違うのか」と比較されます。
大きな違いは、ヘリコプターの動力源はエンジンですが、eVTOLは電気が動力源なので、部品点数がヘリコプターに比べて少なく、製造コストも抑えることができるということです。






