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 日本のGDP(国内総生産)の実に22%を占める、建設・不動産・住宅の3業界。日本経済を支えるこれら巨大産業が、今「変革のタイミング」を迎えている。本連載では『「建設業界」×「不動産業界」×「住宅業界」Innovate for Redesign』(篠原健太著/プレジデント社)から、内容の一部を抜粋・再編集。異業種に比べてDXやGXの面で後れを取る3つの業界に求められている、産業構造の「リデザイン」について考える。

 今回は、国が推進するビルの省エネ施策「ZEB:Net Zero Energy Building(ゼブ)」の現状を紹介し、ZEBの付加価値を利用者に伝えるための企画提案について考える。

求められる「Net Zero Energy Building(ZEB)」。
それへの対策を練り込む

 国は2009年、「ZEBの実現と展開に関する研究会」を立ち上げ、研究会での検討を通じて、今後の我が国の建築物のZEB化に向けた新たなビジョンの提案や、課題とその対応策としての提言をとりまとめました。

 前述したように「ZEB(ゼブ)」とは、「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の略称で、ビルで消費するエネルギーを、省エネや再生可能エネルギー利用などにより削減し、限りなくゼロにするというものです。省エネ戸建て住宅の「ZEH(ゼッチ)」のビル版といえます。

 国はさらに2015年に「ZEBロードマップ検討委員会」を立ち上げ、ZEBの目標達成に向けたロードマップ作成が始まりました。

「第4次エネルギー基本計画」(2014年4月閣議決定)においては、「建築物については、2020年までに新築公共建築物等で、2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現することを目指す」とする政策目標が設定されています。

 一方、2015年にとりまとめられた「長期エネルギー需給見通し」においても、2030年の目標として定められている省エネルギー量を達成するため、「ZEB実現に向けた取組等により高度な省エネルギー性能を有する建築物の普及を推進する」ことが前提となっています。