住友林業代表取締役社長の光吉敏郎氏(撮影:宮崎訓幸)

 オーストラリア・シドニー近郊での賃貸用集合住宅開発、アメリカ・ロサンゼルス近郊での賃貸住宅開発事業への参画など、海外事業展開に拍車をかける住友林業。同社は、森林経営から木材・建材の製造・流通、木造建築、バイオマス発電にいたるまで、「木」を軸とした独自のバリューチェーン「ウッドサイクル」を世界各地で築き、現在は連結売上高の約6割を海外の住宅・不動産事業が占める。今後の国内外の事業戦略や、脱炭素社会の実現に向けた価値創造について、光吉敏郎社長に聞いた。

グローバル住宅事業の現在地、米豪市場をどう読むか

──海外事業を積極的に展開していますが、アメリカ市場で苦戦している印象があります。

光吉敏郎氏(以下敬称略) アメリカ市場は、高金利政策が想定以上に長引いたことに加え、トランプ政権下では関税や移民政策などの新たな政策が次々と打ち出されました。その結果、マクロの先行きに対する不透明感が広がり、人生で大きな買い物である住宅購入に対してお客さまの慎重姿勢が強まりました。当社の事業もその影響を受け、苦戦を強いられています。

 ただし、アメリカは2008年のリーマン・ショック当時に約3億人だった人口が、直近では3億4000万人弱まで増えており、特に住宅購入層のミレニアル世代やZ世代の人口が厚い構成になっています。加えて、リーマン・ショック後しばらくの間は住宅着工戸数が低水準で推移した時期が続いたため、住宅不足が構造的な課題として指摘されています。

 つまり、住宅の需給ギャップは依然として大きく、その解消には10年程度かかるとの見方もあります。中長期的に見れば、当社にとっては大きなビジネスチャンスだと捉えています。

DRB社の分譲住宅(写真提供:住友林業)

── 一方、オーストラリア市場は好調なようですね。