
独自開発の複合材料「ホーロー」に強みを持ち、システムキッチンでシェアトップのタカラスタンダード。同社の小森大社長は「変革の再挑戦」を掲げ、TDX(タカラデジタルトランスフォーメーション)によって具体的な変革に着手している。TDXによって何をどう変えようとしているのか。そして意外な領域まで事業が広がるホーローの可能性とは。
なぜ変革の「再挑戦」なのか?
──2024年に3カ年の新中期経営計画がスタートし、「変革の再挑戦」を掲げています。あえて「再」とした狙いは何でしょうか。
小森大氏(以下敬称略) 前中計では、会社の体質を変えていくことを主眼に計画を立てたのですが、その時期はちょうどコロナ禍の巣ごもりニーズもあって、われわれの業界は水回り機器の交換やリフォーム需要がかなり盛り上がりました。当社にも多くのオーダーをいただいたため、商品の増産に追われ、会社の変革はいったん先送りせざるを得なくなりました。メーカーとしての供給責任を優先したわけです。
そこで改めて変革に取り組むに当たり、退路を断って臨むという思いを込めて「再挑戦」としました。
──社長就任時(2024年4月)には、さっそく社長直轄の構造改革推進室を立ち上げています。
小森 変革に当たって、まずは現在の事業構造の中でどのような問題があるのかをあぶり出し、次に改善策をどう実装していくかを考えました。
変革の設計図を描くフェーズは昨年末で終わりましたので、今年1月からは組織名称も大くくりな「TDX(タカラデジタルトランスフォーメーション)推進本部」に変更しています。そして、本部内に従来の構造改革を設計する部隊と、その設計図を実際にデジタルに落とし込んで実装していくIT戦略部の2つを置きました。
──TDXによって具体的に何をどう変えていこうとしているのでしょうか。