県議会にて全会一致の不信任決議が可決された兵庫県の斎藤元彦知事県議会にて全会一致の不信任決議が可決された兵庫県の斎藤元彦知事(写真:共同通信社)

(川上 敬太郎:ワークスタイル研究家)

博物館エントランスでの職員叱責事件に見る「強い違和感」

 さまざまなパワハラや“おねだり”疑惑が内部告発によって明るみに出て、県議会の全議員から辞任を求める声が上がっている兵庫県の斎藤元彦知事。9月19日、議会で不信任決議案が提出され、前代未聞の全会一致で可決されたことで、いよいよ辞職か議会解散かの決断を迫られています。

「車止めをなぜのけとかなかったのか。のけるのを失念してたのじゃないかということを申し上げたというふうに記憶しています」

「外だということもありまして、大きい声でその旨を伝えたというふうに記憶しています」

「それなりに強く指摘をさせていただいたと思います」

 これは、県議会の百条委員会で斎藤知事が行った答弁です。

 博物館のエントランスが自動車進入禁止なので公用車を降り、20m程度歩かされたことで激怒したとされる一件について尋ねられた知事は、以上のように回答しています。

 ですが、この答弁を聞いただけでも強い違和感を覚えます。兵庫県庁や知事を取り巻く現状を考えると、マネジメントのあり方に大きな問題があったのではないでしょうか。

 当時、知事は歩かされたエリアが自動車進入禁止だったことを知らなかったと証言しています。つまりこの叱責事件は、事実認識のズレがもたらしたということです。

 知らなかったからと叱責された職員としては、たまったものではありません。しかしながら、知事が禁止エリアだと認識していないことも想定して先読みしていれば、対応は違った可能性があります。