就任から3年たっても新任管理職のように未熟だった斎藤知事
地位は時に人を惑わせます。責任の重さを感じて弱気になってしまうこともありますが、権限を得たことで人として偉くなったかのごとく勘違いして横暴になったり、なめられてはいけないと強面を装ったり、あえて強い態度に出てしまったりすることもあります。
特に、初めて管理職になったような場合はマネジメントがうまくできなくて当然です。しかし、自分の未熟さを理解していれば、忠告に耳を傾けて修正していくことができます。
頭ごなしの叱責では委縮させるだけだと分かれば、「いつもありがとう。今後はこうしたらもっと良くなると思うよ」と注意の仕方を変える、といった具合です。
斎藤知事は官僚としても管理職経験があり、知事になってからも3年がたっています。修正するチャンスはたくさんあったはずなのに、新任管理職のごとき未熟さであふています。
片山元副知事以下の幹部たちも知事のマネジメントを正さずに迎合し、支えてしまったと感じられます。それが、自浄作用を働かせられずいまの状況へと陥らせる手助けになってしまいました。組織マネジメントにおける反面教師とすべき、最悪のお手本です。
ただ、同じように、マネジメント力が未熟なトップと支えている幹部たちが組織を迷走させてしまうというシーンはあちこちで見られます。兵庫県知事たちのマネジメントを笑えない組織は、決して少なくないのではないでしょうか。
【川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)】
ワークスタイル研究家。男女の双子を含む、2男2女4児の父で兼業主夫。1973年三重県津市出身。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関『しゅふJOB総合研究所』所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を中心にのべ約5万人の声を調査・分析したレポートは300本を超える。NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」等メディアへの出演、寄稿、コメント多数。現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。