(山田 稔:ジャーナリスト)
自民党内に「石破おろし」の雰囲気さえない理由
11月11日、第2次石破政権が発足した。同じ日、石破氏がパーシャル連合の相手として秋波を送る国民民主党の党首・玉木雄一郎氏の不倫騒動が発覚し、臨時会見、街頭演説と玉木氏は釈明に追われた。メディアやネットでは第2次石破政権発足よりも不倫党首の騒動に注目が集まり、103代首相の石破氏の存在はすっかりかすんでしまった。
そんな石破政権だが、最新の読売新聞の支持率(11月11~12日調査)をみると43%で、前回(衆院選直後)の34%から9ポイントも上昇した。取り立てて何もしていないのに不思議な現象だ。不支持率は42%。支持率が上がった理由についての分析はなかった。
11日午前には国民民主党の玉木氏と党首会談を行い、「年収103万円の壁」引き上げがテーマになった。石破氏は「与党として真摯に検討」として両党の政調会長、税調会長同士での協議を進めていくとの考えを示している。
ドタバタ騒動のなかでスタートした第2次石破政権の先行き見通しはどうなのか。ついこの間までは「平成以降で最短だった羽田孜政権(64日)よりも短命に終わる」とささやかれていたのだが、ここへきて随分と風向きが変わってきた。
永田町を連日取材しているベテラン記者はこう言う。
「ひところは来年度予算成立が大きなポイントとなると見られていました。国民民主党などの要求を受け入れなければ予算成立の目途が立たなくなり、予算成立と引き換えに退陣というシナリオがもっともらしく語られていました。
それが、2月、3月の段階で誰かにトップを変えたところで、7月の参院選を乗り切れる保証はない。だったら参院選まで石破氏にやらせて、敗北の責任を取らせればいい、といったムードが支配的になりつつあります。それだけ自民党内に元気がないんです。56も議席を減らしたことで、ふぬけのようになっています」
「石破おろし」といった雰囲気さえないというのだ。春に新しい総裁を選出したところで、7月の参院選までは数カ月しかない。その間に党勢を立て直すのは至難の業ということか。そのため、消極的選択肢として、石破氏に7月の参院選まで首相をやらせるというシナリオが出てきているのだという。