石破政権でも、日米関係の強化は可能だと山本氏は語る(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)石破政権でも、日米関係の強化は可能だと山本氏は語る(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員)

 そんなわけで、「アメリカ大統領選2024」は、共和党のドナルド・トランプ元大統領が勝利、再選する形で決着しました。

 このまま米下院も共和党が制しますと、いわゆる「ストレートフラッシュ(ポーカーで言うクソ強い手札)」に当たるホワイトハウス、行政府、連邦議会の上院と下院、そして最高裁判所での多数派が共和党となり、非常に強い権限をトランプさんが確保することになるわけでして、これまた大変なことになったなあと思うわけであります。

 世界におけるアメリカの役割はその強大さゆえに重要なのは当然として、ウクライナ紛争や中東問題、さらにはグローバルサウスに核不拡散、気候変動といった世界的課題に直面するにあたり、アメリカによる一極一強体制から相対的なアメリカの国力の低下を受けて、緩やかな多極化に向かっていくプロセスにあります。

 そんな中で内向きな政策を掲げ、アメリカ第一主義的な、ある種の新モンロー主義のような主張を掲げるトランプさんが返り咲いたというのはアメリカ国民の尊い判断の結果、雪崩を打って共和党支持に流れていった背景はあるのかなあと思います。

 あくまでメディアから見た大統領選挙という観点では、今回のトランプ勝利の裏側にある、超絶リベラルな急進左翼の敗北は重要なテーマで見逃せません。

 今回の民主党カマラ・ハリスさんの敗北の影には、「アメリカの女性票が」とか「マイノリティが」「黒人層が」などの分析ではなく、ほぼすべてのあらゆる階層と、中所得以下の都市在住層、さらに非大卒(コミュニティカレッジ中退なども含む)が民主党離れしてしまった面があります。惜しくもなんともなく、総崩れで、地滑り的に負けてしまったわけですね。

 特に、ハリスさんは副大統領就任直後から極めて部下に強く当たるタイプで、パワハラ問題は指摘されていました。

 ただでさえ政策推進の面で問題のあったバイデン政権において、大統領不在時にホワイトハウスの指揮を執るハリスさんのパワハラで、重要な専門家や補佐官がかなり辞めてしまったり、報告をハリスさんに上げず機能不全に陥ったり、能力以前の人柄面での不信感が広く喧伝され、しかもそれは一定の事実であったろうということで、民主党の選挙戦の大きな失速につながっていったことはいうまでもありません。