トランプ氏と対話可能な位置にいることを証明した石破首相

 大統領選挙の結果で動く資金や政治的影響が大きいからこそ、多くの人たちは正確な予測を知るために相応の契約金を払って情報を得ようとしていているわけですが、その情報がガセネタだったというのは大きな衝撃に違いありません。

 裏を返すと、おカネを比較的使える企業経営者や都市部在住の富裕層は、一貫してカマラ・ハリスさんら、人権重視で都市型の政策を推進し、環境政策に前向きで移民政策を奨励するような伝統的な左翼や左派系マスコミ、調査会社の言うことを信じ続けた面はあるのかもしれません。

 結果的に、そういった願望に応えるようなメディアの予想は外れ続け、切なる願いはトランプさんの地滑り的大勝利という事実の前に打ちのめされて、言葉もないような状態になったわけですが……。

 むしろハリスさんへの期待の声が高く、ハリスさんを支持する割合が半分に近づいていればいるほど、トランプさんが1月に大統領に就任してしまうという受け入れがたい現実に強い嫌悪感を抱くでしょう。「民主主義は死んだ」とか「アメリカの衰退はここで確定した」などの怨嗟の声を上げた結果、アメリカ社会は正当な民主主義を進めたがゆえに分断が進んでしまう恐れもあります。

 かたや、日本ではトランプさんとハリスさんのどちらが勝利しても日米関係を引き続き強固なものにし続けるという観点から、両にらみでどちらが大統領に就任しても影響が最小限に収まるよう、情報収集や人間関係の構築は続けていたものと見受けられます。

 首相補佐官の長島昭久さんが、いち早くトランプさんと石破首相の電話会談を実現したことを報告しています。個別具体的な内容はともかく、きちんと対話可能な位置に日本と石破茂さんがいるということをきちんと示せてよかったなと思います。