(国際ジャーナリスト・木村正人)
インフレの逆風がハリス氏を押し潰す
[ロンドン発]11月5日投開票の米大統領選で共和党ドナルド・トランプ前大統領が米国全体の得票数でも民主党カマラ・ハリス副大統領を上回り、予想以上の大差で復活を果たした。有罪判決で後がないトランプ氏は経済と移民問題に焦点を絞った選挙戦略が成功した。
トランプ氏は2016年大統領選に勝ったものの全国の得票数では民主党ヒラリー・クリントン元国務長官に287万票近い差をつけられた。今回ハリス氏の選挙運動は上滑りに終わった。トランプ氏は銃撃され流血しても拳を突き上げるタフさを見せ、激戦7州を全勝した。
ジョー・バイデン大統領の4年間で米国の累積インフレは21.5%に達した。この逆風がハリス氏を押し潰したと言える。
世界は米国の孤立主義、保護主義に対処しなければならない。最大の敗者になるのはウクライナ戦争を抱える欧州だ。
そして東アジアは、台湾や北朝鮮という火種を抱えている。
3月、ジョン・アキリーノ米インド太平洋軍司令官(当時)は上院軍事委員会で「すべての兆候は、中国人民解放軍が2027年までに台湾侵攻の準備を終えよという習近平国家主席の指示を満たしていることを示唆している」と証言した。あと3年しか残されていない。