アジアで影響力が低下するアメリカの代わりに何ができるか?

 アメリカとの関係強化は日本の安全保障・国益においては最重要課題です。国内から「親米ポチだ」「対米従属だ」と批判されようとも、最大の変数としての日米関係を維持しつつ、東アジアやASEAN(東南アジア諸国連合)地域の安全保障の確立に資する同盟関係をどのように堅持するかは、石破政権が担う一丁目一番地であることは論をまたないでしょう。

 他方で、アメリカ側から超党派で求められ続けている能動的サイバー防御(ACD)やセキュリティクリアランス、経済安全保障関連は必須として、そこに自由で開かれたインド太平洋(FOIP)やデータ法制関連(DFFTや個人情報保護法、AI関連法制、デジタルサービス法ほか)あたりは本来国会でも真摯に議論していくべき内容です。

 そのうえで、アメリカが一層の内向き政策を採る場合に(もちろんその可能性が高い前提ですが)、アジアから徐々に影響力を減じていくアメリカの代替となる日本の穴埋め策なども検討していく必要が出てきます。

 今回のトランプ体制では単純な米中対立の構図になることは考えづらく、より変数の多い国際環境の中で、日本が役割として何を担い、それを担保できる政策、人員、リソース的な確保をどのように行っていくのかという議論・検討はどうしても必要です。

 このような状況下で、石破茂政権は割と安全保障方面に強いメンバーを揃えています。外務大臣に岩屋毅さん、防衛大臣に中谷元さん、秘書官に長島昭久さんがいたうえで、国家安全保障局(NSS)も秋葉剛男さん以下、主要なメンバーはまあまあ残っています。通り一遍の日米関係の維持は、よほど変なことが起きたりしゃべったりしない限り、大丈夫じゃないのかなあと思っています。

石破政権の安全保障方面でカギを握る長島昭久補佐官(左から2人目)(写真:共同通信社)石破政権の安全保障方面でカギを握る長島昭久補佐官(左から2人目)(写真:共同通信社)

 ただ、これまで述べた通り、「アメリカが徐々に地域からいなくなる場合に、日本がその役割をどう埋めるのか」という現実面の対応だけでなく、日本はここでアメリカの肩代わりをしますという青写真ぐらいは作っておく必要があります。