陸上自衛隊朝霞駐屯地に隣接する訓練場で行われた自衛隊発足70年記念の観閲式に出席した石破首相陸上自衛隊朝霞駐屯地に隣接する訓練場で行われた自衛隊発足70年記念の観閲式に出席した石破首相(2024年11月9日、写真:共同通信社)

逆風にあえぐ石破新首相がどうしても実現させたい国防戦略

 アメリカ次期大統領選挙で共和党候補のトランプ前大統領が勝利し、2025年1月20日に第47代大統領に就任する。大方の予想に反し、民主党候補で現副大統領のハリス氏に圧勝。雌雄を決する接戦州ほぼ全てを制する快進撃を見せつけた。

「アメリカ・ファースト」を掲げ、「NATO脱退」「ウクライナへの軍事援助は即時中止、戦争を24時間以内に終わらせる」などとほえまくる“MAGA(Make America Great Again):アメリカを再び偉大な国にする」大統領”の返り咲きに、世界中、特に西側同盟国も戦々恐々のようだ。

 圧勝で自信を得たトランプ氏が、外交面でも快進撃を図ろうと鼻息が荒くなることだけは確かで、日本の安全保障への大きな影響も心配される。

 矢面に立つ石破茂新首相としては頭の痛いところだろう。10月1日に内閣総理大臣に推挙されたものの、こちらは直後の衆院選で与党が大惨敗。早くも「石破おろし」が聞こえるなど逆風にあえいでいる。

 11月11日の特別国会での総理指名選挙で、石破氏の首相続投が本決まりになれば、これまで同氏が掲げてきた「日米地位協定の見直しと在日米軍基地の縮小」「憲法改正と第9条第2項削除」「国防軍の明記」などの実現に向けて動き出すことになるだろう。

 だが、「独立国として自分の国は自分で守るのが当然」との主張を繰り返してきた“ミスター国防”にとって、トランプ氏の返り咲きは番狂わせとも言える。本稿では石破氏の防衛政策の一丁目一番地である「国防軍」について、その死角も交えながら解説したい。