兵庫県知事選に無所属で立候補した立花孝志氏(写真:Pasya/アフロ)兵庫県知事選に無所属で立候補した立花孝志氏(写真:Pasya/アフロ)

(山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員)

 3月22日に放送されたTBS『報道特集』は、その界隈では大きな話題となりました。百条委員会にまつわるネットでの誹謗中傷が理由で自ら命を絶ったとみられる兵庫県元県議・竹内英明さんの件を含めた、兵庫県知事・斎藤元彦さんに関する報道がなされたからです。

 この中で、県議会が設置する百条委員会とは別に組成された「文書問題に関する第三者調査委員会」の調査報告書が公表された翌日、亡くなった竹内さんの奥さまが番組の取材に応じている様子が映し出されました。

 そのうえで、竹内さんの心労の原因とみられるSNS上の誹謗中傷は、誰が・何の目的で拡散させたのかという検証についても、番組の中で報じられています。

 不肖、私・山本一郎も、いちネットユーザーとして、80件以上、誹謗中傷に関する訴訟を起こしたり起こされたりしました。また、ネットでの誹謗中傷やデマ・ガセネタに悩むクライアントに炎上対策の助言をしたり、具体的な対処についてお手伝いをする立場の人間として、取材に応じたりしております。

「見るに堪えなかった」亡くなった竹内元県議の妻が語った苦悩、誹謗中傷“選挙動画”の拡散を検証【報道特集】(TBS)
「文書問題に関する第三者調査委員会」調査報告書(兵庫県)

 この問題に関しては、亡くなった竹内さんを誹謗中傷したアカウントは削除済みも含めて特定が終わっています。特に、拡散の「元ネタ」となる投稿の追跡はすでに済んでおり、斎藤元彦さんの責任・去就問題とは別に、これから具体的にどのような対策を打つべきかという議論に移ってきました。

 東京大学教授・鳥海不二夫さんと朝日新聞の調査では、「批判的な投稿をさかのぼると、リポストされた約11万件のうち、半数は13アカウントからの投稿が元になっていた」と結論づけています。

 これらは立花孝志さんとそのシンパ(俗に「ファンネル」と呼ばれる支持者・信者)による拡散であったことが明確になっています。

兵庫前県議への批判投稿、13アカウントから 立花氏が2番目の多さ(朝日新聞)

 つまり、立花孝志さんがネットに流した竹内さんへの誹謗中傷やガセネタを立花さんやNHK党の支持者らがせっせと拡散し、それを苦にした竹内さんを自ら死に追いやる結果となったと言われても仕方がありません。