「あのぉ、道義的責任というものが何かということが分からないので、あのぉ、明確にコメントできませんけれど・・・」
いくつか出た、斎藤兵庫県知事のとんでも発言の中でも、「維新の会」を含むすべての兵庫県議会会派が「この人はムリだ」と認めたほとんど歴史的と言ってよい「異常な発言」を引用しました。
これはさすがに、正常な状況ではない。
県議会議員86人全員が名前を揃えた「辞職要求」の申し入れという、憲政史上、前代未聞の状態に達しており、事態はとっくに「パワハラ」だ「おねだり」だというレベルを超えています。
それまで斎藤氏の肩を持っていた「維新」の大阪府知事すら「議会が開かれる以前での『辞職』と出直し選挙の申し入れ」で肩を叩き、それにも斎藤氏は「断った」という。
ここまで不始末を犯した人間が自分で辞めれば、まだ傷は浅いけれど、これが「不信任決議案」など出してしまうと両刃の剣になります。
可決された場合、単に知事が失職すればそれでいいのですが、知事が開き直って議会を解散すれば、「百条委員会」も仕切り直さねばなりません。 全議員が失職し、選挙をやり直さねばならない。
選挙費用が16億円だというような試算も報じられていますが、維新にとっては政党存続の危機に直面しつつあります。
現在の兵庫県議会でこそ「維新の会」は第2勢力、トップの自民党(37人)に次ぐ21人の議員数ですが、その内訳は15人が昨年の前回選挙で当選したばかりの1年生議員、当選2回が2人、3回が1人、4回が1人、5回が2人で合計21人。
維新旋風の追い風があればこその数字で、現状は逆風の極にあるといってよく、仮に選挙になれば大幅に議席数を減らす可能性が高い。
ここでまともに大人の計算ができれば、知事が折れ、支持母体の勢力21人を温存して今後を乗り切るのが、良くも悪しくも普通の政治。
ところが「斎藤元彦」はちょっと違った。吉村大阪府知事の「肩たたき」に対して「自分はまだ政治家になって3年しか経過していない」としてこれを拒否。
すでに何人もの人の命を奪っておきながら「まだこれから」と発言するのも、相当なものですが「自分の道は自分で決める」に至っては、開いた口がふさがりません。
どうか「出直し選挙」などになっても、決して出馬などしないようにお願いしたい。
当選するわけがない以上に、街頭演説などすれば狙撃の可能性があり、作らなくてもよい犯罪者を生み出しかねない。
ところが、「7月以降『がんばれ』の声の方が高まっている」という、ものすごい発言まで飛び出しました。そんなものは身内だけでしょう。
すでに後援会代表幹事であったアシックスの尾山基前会長が辞任し、後援会も空中分解と報ぜられ、全県議が「辞職要求」でも「続投の意向」。
どこかのネジが外れています。
この人が編成する予算で、来たる年度、1年間振り回される県民や職員もたまったものではありません。
そもそも「斎藤元彦」的存在は決して単体の特例、怪奇現象ではなく、こういうのが出てくる「素地」があるのは、前回稿でも記した通りです。
その構造要因から、再発防止を考えてみましょう。