参院予算委の集中審議で答弁のため挙手する石破首相=27日午前(写真:共同通信社)

(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

石破総理は謝罪すべきだ

 石破総理が公邸で、昨年当選したばかりの自民党の当選1回議員15人全員と会食した。

石破首相 自民議員に商品券「法的には問題なし」野党は追及 | NHK  
石破首相 商品券配付 “荷物にならないよう配慮” 参院予算委 | NHK  

 この際、正副官房長官を同席させ、自身のポケットマネーから1人当たり10万円の商品券を配ったとされる。返却されたとはいえ、合計150万円分で、注目に値する。

 政治とカネが問題視されて政権がコケる時代に、緊張感がないどころかずいぶん豪気なことである。荷物にならないよう配慮して事前に配ったというから気配りの人でもあるのだろうか。

 理路はあとで述べるとして、政治資金規正法に抵触する可能性が高いし、政治家は金銭の授受に細心を払うべきであり、総理本人もその行為の不適切さを認めて謝罪すべきだ。

 国会でも野党からたびたび追求を受け、内閣支持率も急落しているが、総理本人はどこ吹く風といった調子だ。

石破内閣の支持率急落30・4%、発足以来最低に 自民支持率も過去最低20・8%  

 一部メディアでは、岸田政権や過去の政権でも同様の慣習があったのではないかとの疑惑が報じられている。

 総理の言い分では、政治活動でもなく、寄付でもない、私的な懇親なので法的問題はないという。

 なお「総理の言い分」については、以下の産経新聞のまとめが詳しい。

「第何条どの条文を仰っていますか」石破首相は繰り返し 商品券配布問題で一問一答(上)  
「『ご苦労様』が政治活動に当たると思わない」石破首相 商品券配布問題で一問一答(下)  

 そもそもだが、社会通念としてもおかしい。

 上場企業で社長が個人資金で新入社員に10万円の商品券を配るケースはまずなく、通常は会社経費で上司同席のもと行われるはずだから、社会通念ということでいうなら政治家の行動として同様の基準を求めることになるのではないか。

 法的問題以前に、社会通念にすら反していて、デタラメだ。

 ところで、そろそろ本題に入るが、法的には問題ないのだろうか。