(写真:REX/アフロ)

 米アップルのAI(人工知能)機能開発が遅延していることが明らかになり、株価が大きく下落した。特に、音声アシスタント「Siri」のAI強化版のリリースが遅れることで、新型iPhoneの販売に悪影響が出る可能性が指摘されている。

アップル「我々が考えていたよりも時間がかかる」

 アップルは、長らくAI分野への取り組みが競合他社に比べて遅れていると指摘されてきた。特に、Siriの機能は他社の音声アシスタントに比べて見劣りするとの評価が多かった。同社はこうした状況を打開するため、SiriのAI機能を大幅に強化する計画を進めてきた。具体的には、複数のアプリと連携する機能や、ユーザーの利用状況に応じてよりパーソナライズされた応答を可能にする機能などを開発している。

 しかし、2025年3月7日の声明でアップルは「これらの機能の提供には、我々が考えていたよりも時間がかかる」と述べ、AI強化版Siriのリリースが2026年初頭までずれ込む可能性を示唆した。

アップル株、3月中旬に大きく下落

 この声明を受け、投資家の間でアップルのAI戦略に対する懸念が広がった。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、アップルの株価は3月中旬に大きく下落した。特に、秋に発売される新型iPhoneへの影響が懸念されている。

 米モルガン・スタンレーのアナリスト、エリック・ウッドリング氏は、「より高度なSiriの展開の遅延は、アップルが2026会計年度(2025年10月~2026年9月)でiPhoneの買い替えを加速させるための材料が少なくなることを意味する」と指摘する。