また、米ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのエジソン・リー氏は、たとえアップルが今後2年間で新しいフォームファクターのiPhoneを発売したとしても、AIの実現に時間がかかれば、販売台数の伸びは鈍化する」と述べている。同氏が言う新しいフォームファクターとは、アップルが市場投入するとの観測が出ている薄型の「iPhone 17」と、折りたたみ式の「iPhone 18」である。
アップル幹部「Siri開発の遅延、恥ずべきこと」
米ブルームバーグ通信の2025年3月14日付報道によると、Siriを統括するAppleの幹部は先ごろ、全社会議で今回の遅延について開発チームに対して、「恥ずべきことだ」と厳しい言葉を投げかけた。
今後の焦点は6月にアップルが開催する開発者向け年次イベント「WWDC25」で、AIに関する新たな発表を行うかどうかだ。もし、ここで具体的な進捗が示されなければ、株価やiPhoneの販売にさらなる悪影響が出る可能性もある。
iPhoneの業績向上、Siriの進化が鍵握る
アップルは、AI分野で競合他社に追いつくために早急な対策を講じる必要があるようだ。具体的には、開発体制の一層の強化や、開発者との連携強化などが考えられる。AI以外の分野でも、iPhoneの販売を促進するための新たな戦略が必要と指摘される。例えば、前述したような新しいフォームファクター、すなわちデザイン刷新、そして新機能の追加などである。
アップルは2024年10月下旬、生成AI「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」の提供を英語圏で開始した。この4月にも、日本語を含む他の言語への対応を予定する。同社CEO(最高経営責任者)、ティム・クック氏は先の決算説明会で、「iPhone 16でApple Intelligenceが利用できる市場では、同サービスが利用できない市場に比べて(業績が)好調だった」と述べていた。
アップルにとって、全社売上高の5割超を占めるiPhoneの販売・シェアを拡大する上で、Apple Intelligenceのグローバル展開とともに、Siriの進化は急務となる。同社は、AIによる新たなユーザー体験の提供を目指し、開発体制を強化する構えだ。Siri進化の実現は、その成否を占う上で重要な鍵となる。