政府は女性管理職比率を30%に引き上げる目標を掲げているが…(写真はイメージ)

(川上 敬太郎:ワークスタイル研究家)

極端な“男高女低”になっている管理職比率

 政府も経済界も労働組合も女性の管理職比率向上に取り組んではいるものの、なかなか思うように上昇していないようです。政府は女性管理職比率を30%に引き上げる目標を掲げていますが、達成期限を2020年から2030年に延ばしました。

 ただ、そもそも誰もが管理職になりたいと思っているわけではありません。管理職は地位も給与も高い一方、責任が重かったり社内政治に巻き込まれてしまったりと、大変そうなイメージもあります。

「自分は出世なんて望まない」「いまの仕事のままがいい」など、働き方の希望は人それぞれ異なるものです。それなのに、あえて管理職の比率を上げる必要があるのでしょうか。

 内閣府の『男女共同参画白書(令和4年版)』によると、2021年の女性管理職比率は係長級で20.7%。課長級で12.4%、部長級は7.7%です。【グラフ1】で見ると右肩上がりにはなっていますが、数字はかなり低い水準で推移しているのがわかります。

【グラフ1】民間企業の雇用者の各役職段階に占める女性の割合の推移(内閣府『男女共同参画白書 令和4年版』より)
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 それに対し、100%から女性管理職の比率を引いて男性管理職の比率を算出してみると、係長級79.3%、課長級87.6%、部長級92.3%。比較すれば、男性管理職のほうが圧倒的に多いことが一目瞭然です。

 一方、総務省の『労働力調査』によると、2022年の就業者総数は男性3699万人に対し女性3024万人。これは比率にすると、男性55.0%に対し女性が45.0%です。管理職の比率は、最も女性管理職の比率が高い係長級であっても男性79.3%に対して女性20.7%ですから、就業者数全体の比率と比べて極端に男性のほうが高く女性が低くなっています。

 以上を踏まえると、女性の管理職比率を向上させようという取り組みは、女性管理職の比率を上げること自体が目的というよりは、極端に“男高女低”となっている管理職の比率を正常化させることだと言えます。では、なぜ管理職比率はここまで極端な形で男高女低になっているのでしょうか。