ほぼ男性が占める管理職会議の「圧迫感」

 次に挙げられるのは「会社の事情」です。改めて男女共同参画白書の管理職比率データを確認すると、2021年は係長級で男性79.3%に対し女性20.7%。一方、先ほどのグラフから正社員の内訳は、2021年は男性65.6%に対して女性34.4%でした。同じ正社員という条件であっても、男性係長の比率は男性正社員の比率より13.7ポイントも高くなっています。

 さらに、課長級87.6%、部長級92.3%と、役職が上位になるにつれて男性の比率は上昇していきます。つまり、日本の会社組織には、同じ正社員であっても男性は女性より管理職に登用されやすく、管理職昇進後も男性係長は女性係長より課長に昇進しやすく、男性課長は女性課長より部長に昇進しやすくなる、何らかの力学が働いている傾向が見られるということです。どんな力学が働くのか。例えば、組織の同質性がもたらす圧迫感です。

 管理職の大半を男性が占めている組織は同質性が高く、その中に入ること自体が女性にとって高いハードルになっています。部長10人で構成される管理職会議が開催された場合、女性の比率は7.7%ですから会議の中に女性が1人いるかいないかということになります。女性部長1人に対して、他9人は男性が占める会議の圧迫感は相当なものだと思います。

 中には、そんな数の差などものともせず会議に臨むことができる勇敢な女性もいるのでしょうが、そのように強くなければ会議に出づらい時点で、多くの女性にはハードルが高く感じられてしまいます。見るからに窮屈そうな環境に勇気を持って飛び込む覚悟を暗に求める組織風土は、管理職への意欲を萎えさせる要因となりえるのです。

 一方、男性管理職たちはそんな女性たちを見て管理職になる意欲が乏しいと感じ、それならば無理をさせずに負荷の少ない仕事を担当してもらおうなどと考えがちです。それは男性管理職たちからすると配慮ですが、結果として負荷のかかりそうな難しい仕事は男性に振られやすくなるという力学が働き、女性がビジネスパーソンとして成長する機会を奪ってしまいます。

 それでも、中には男性だらけの会議に飛び込む勇敢な女性がいるように、それらの逆境をはねのけて能力を発揮し、管理職になっていく女性もいます。しかし、そのように特別優秀なケースを基準にしてしまうと、やはり多くの女性にとってハードルは高くなります。

 さらには、管理職になった女性自身も、ともすると自分が有している特別高い能力を基準にして同じことを他の女性社員たちにも求めてしまいがちです。それもまた、女性が管理職になるハードルを高めることになります。