東急池上線「戸越銀座駅」木の美しさが印象的な東急池上線の戸越銀座駅(筆者撮影)

 大規模施設や公共建築で木材を活用するケースが目立っている。東京五輪のメイン会場となった国立競技場や、整備費用の問題が浮上している大阪・関西万博の会場にも木造リング(大屋根)が設置される。また、近年増えているのが鉄道施設での木材活用だ。従来、駅舎や枕木などに木を多用していたが、時代と共に耐火性・耐震性、耐久性などが求められ、鉄やコンクリートに取って代わられた。木材を再評価する潮流は鉄道事業者だけではなく、私たちにも恩恵をもたらす。ライターの小川裕夫氏が、鉄道事業者の木材活用事例と、副次的な効果についてレポートする。(JBpress編集部)

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民間の大規模施設で木材活用が進んでいる理由

 2020年に新規開業した高輪ゲートウェイ駅は、49年ぶりとなる山手線の新駅ということや、山手線らしくない斬新な駅名から大きな注目を浴びた。高輪ゲートウェイ駅を設計・デザインしたのは建築家の隈研吾氏で、新しい国立競技場も同氏による建築として知られる。

 高輪ゲートウェイ駅は完全な木造建築ではないものの、隈デザインの特徴ともいえる木材をふんだんに使ったものになっている。

高輪ゲートウェイ駅高輪ゲートウェイ駅は屋根部分に多くの木材を使用している(筆者撮影)

 今、建築界では木材を活用するトレンドが起きている。高度経済成長期以降の日本では、大型建築物は鉄骨もしくは鉄筋コンクリートで設計・施工されることが半ば常識になっていたが、2010年に「公共建築物等木材利用促進法」が成立したことで改められていく。同法は官公庁舎や公共施設を対象にした法律だったが、これに触発されて民間の大規模施設でも木材を使う機運が芽生えた。

 2013年、横浜市の「サウスウッド」が国内初となる木造の大型商業施設としてオープン。それらを皮切りに、各地でも木造の大規模施設が次々と竣工していく。そして、積極的に木材活用を推進する流れは鉄道事業者にも見られる。