「行政、会社、家庭」の三所攻めが必要

 以上を整理すると、女性の管理職比率向上は男高女低になっている管理職比率を正常化させることを目的に行う取り組みであり、正常化させるためには「社会」「会社」「家庭」それぞれの事情が重なり合って形成されている“三重苦”を取り除かなければならないということです。

 それは、法制度で女性の管理職比率を開示するよう会社に求めるだけで実現できるものではありません。そのようなルールも、ないよりはあったほうが良いとは思いますが、ただ情報開示を求めても管理職比率という数字だけが目的化してしまい、形式的に女性登用のための役職を設置するといった表層的な施策でお茶を濁すような会社が出てくることも考えられます。

 あるいは、家庭内の事情が解決されないまま会社が無理やり女性社員を管理職に登用し、仕事と家事育児の両方に追われて過度な負担がかかってしまうようなこともあるかもしれません。

 三重苦を取り除くためには、まず政治と行政、会社、家庭、それぞれが課題認識を共有して同時並行で施策を進めていく“三所攻め”で対処する必要があります。「社会」「会社」「家庭」という異質な事情が折り重なって阻害要因を形成しているだけに、個々の施策を単発で繰り出すだけでは、効果は限定的でしかないのです。