スターリンの「粛清の論理」をなぞる習近平
呉氏は「『スターリンの論理』というレンズを通すと矛盾して見えなくなり、予測もしやすくなる」という。スターリンは1936年に共産党、軍、社会全体で大粛清を開始した。スターリンと密接に働いてきた共産党指導者が継続的かつ広範囲に、冷酷に排除された。
習氏の新しい粛清もスターリンの大粛清と同様、権力を掌握してから10年以上経過して始まった。習氏の粛清は波状的に押し寄せ、ライバル派閥を粛清するのを手伝った身内が標的にされている。「狡兎死して走狗烹らる(兎を捕り尽せば猟犬は不用だ)」とはまさにこのことだ。
「スターリンと習を結びつけるのは毛沢東。彼もまた長年にわたって中国共産党の内なる敵と戦い、建国前後から自分が最高権力を得るのを助けたかつての同志を追い落とし、文化大革命では最も近い同志を標的にした」と呉氏は指摘する。
スターリンのように継続的に粛清を行えば敵はいなくなり、標的は身内にならざるを得ない。毛沢東は文化大革命という大衆動員に頼ったのに対し、習氏はスターリンと同じように公安、国家安全保障、党機関を含む国家装置を使って標的を倒している。