自公連立政権の信任を問う衆議院選挙の投票日が、10月27日に迫ってきました。衆院選は2021年10月以来、3年ぶり。自民党の派閥による裏金事件によって「自民党とカネ」の在り方が大きく問われ、今回の衆院選でも裏金事件に対する国民の審判がくだされることになります。では、裏金議員の立候補はどんな状況になっているのでしょうか。注目の選挙区と併せて、やさしく解説します。
「裏金問題」が大きな争点に
衆院選が公示された10月15日、各党の党首は第一声をあげました。トップたちがこぞって言及したのは「自民党の裏金」「政治とカネ」の問題です。
立憲民主党の野田佳彦代表は東京都八王子市で演説し、「裏金問題が大きな争点であることを国民に理解してもらい、怒りを共有するためにも公示日は裏金大物議員の選挙区を回る」と強調しました。八王子市は、旧安倍派の幹部だった萩生田光一氏の地元です。萩生田氏は2728万円の裏金を得ていたことなどから、石破体制となった自民党は今回の選挙で萩生田氏を公認していません。
それでも民主党の野田代表は「石破首相は支持率が下がることを恐れて『裏金隠し解散』をしたのではないか。裏金議員を裏から助ける、裏、裏、裏の自民党の政治文化を壊していこうではないか」と力説。総選挙によって裏金問題を雲散霧消させてはならないと力を込めました。
日本維新の会の馬場伸幸代表が力を込めたのも「政治とカネ」です。東京都のJR高田馬場駅前の第一声で「政治への信頼を取り戻すためには政治とカネの問題をもっとクリーンに『見える化』しなければならない。経済が成長しなければ給料は上がらない。政府は賃上げしろと言いながら他方で防衛増税や少子化対策のための社会保険料上乗せをする。日本維新の会はこうした問題に『身を切る改革』をする」と訴えました。
そのほかの野党党首も裏金問題に言及し、自民党の姿勢を厳しく批判しています。
例えば、日本共産党の田村智子委員長は「表紙が変わろうとも、自民党は何も変わらない。裏金事件の幕引きを許さない。企業・団体献金の全面禁止、カネまみれの政治を生んでいる政党助成金廃止へと真の政治改革を進めていこう」と強調。国民民主党の玉木雄一郎代表も「自民党は反省していない。これだけの政治不信を招いておきながら、誰にいくら出したか明らかにする必要のない政策活動費を使って選挙を戦う(つもりだ)」と非難しました。
これに対し、福島県いわき市を第一声の地に選んだ自民党の石破茂首相は「政治とカネの問題、(政治資金)パーティー収入の不記載、そういうことが二度と起きないよう、私たちは深い反省のもとにこの選挙に臨む」と強調。その上で「日本の独立と平和を守り抜くことができるのは自公政権」と力説し、与党への支持を訴えました。
経済政策や社会保障、外交・防衛など国政の課題は常に山積みです。それと同時に、政界では長く「自民党とカネ」の問題が大きなテーマとして横たわってきました。今回はその象徴とも言える「裏金問題」に対し、有権者がどのような判断を下すのかが最大のテーマと言っても過言ではありません。