【注目選挙区 兵庫9区】

 萩生田氏と同様、安倍元首相の側近として知られていたのが、兵庫9区の西村康稔氏(62)です。経済産業大臣などを務めた実力派ですが、裏金問題をめぐって1年間の党員資格停止処分を受けており、今回の衆院選では党の公認を得られていません。ただ、無所属での出馬と言いながら、西村氏は自民党の地域支部と公明党の推薦を受けており、選挙活動は活発のようです。

 これに対する野党側では、立憲民主党の新人・橋本慧悟氏(35)が有力と見られています。橋本氏は兵庫県職員として働いたあと、兵庫県議に転じ、今回は県議を辞しての挑戦です。

 兵庫9区は明石市を含む選挙区で、明石と言えば知名度抜群の元明石市長・泉房穂氏がいます。橋本氏はその泉氏の「一番弟子」とも言える存在で、実際、政治に初挑戦した2023年の県議選では、泉氏の率いる政治団体から出馬して3万2000票余りを獲得。2位に倍近い差をつけて圧勝しました。SNSのアカウントでも、泉氏と一緒に県議選に挑んだ際の様子や泉氏とのツーショットをカバー写真として使っています。

 X(旧ツイッター)を通じて全国的な発信力を持つ泉氏は、今のところ「橋本支援」で目立った動きは見せていませんが、その動き次第では兵庫9区の勝敗は予断を許さぬものになりそうです。

 このほか、兵庫9区には共産党の高田良信氏(78)、日本維新の会の加古貴一郎氏(61)も出馬しています。