おわりに

 第2次大戦後、各国は、国連の集団安全保障体制と同盟により、自国の安全を確保してきた。

 しかし、今日、国連は機能不全に落ちているため、同盟の重要性が大きくなっている。

 同盟の信頼性・実効性を高めるには様々な方法がある。

 これを段階的に言えば、第1段階は日米同盟のように条約を締結する、第2段階は米韓同盟のように連合軍司令部を設置し指揮系統を一元化する、最も実効性のある第3段階は、NATOのように、通常から軍団以上の司令部と部隊を多国籍軍編成とし、一部部隊を常設軍(地中海常設海軍部隊、AWACS部隊等)とし、さらに各国は特定の部隊をNATO指揮下に配属することである。

 このように、日米同盟が他の同盟に比べて低い段階にあることを銘記すべきである。

 さらに日米同盟には、NATOのような相互防衛義務がない。相互防衛義務のあるNATOは、今や世界最強の同盟である。

 ここで、相互防衛義務に関する逸話を紹介する。

 スウェーデンは2022年にロシアがウクライナに全面侵攻したのを受け、NATO加盟を申請した。

 新規加盟には加盟31か国すべての承認が必要である。

 ハンガリーは、スウェーデンが同国に対して敵対的だとし、承認を遅らせていた。ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相は、やっとスウェーデンのNATO加盟を承認した時、両国は今や「互いのために死ぬ用意がある」と発言した(出典:BBCニュース2024年2月27日)。

 日米同盟をさらに強固にするために、日本も、米国のために死ぬ用意ができたならば、日米安保条約を改正して、日米同盟の片務性を双務性へ転換しなければならない。