日本の領海を侵犯しながら海底の測量を行ったとみられる中国の測量艦(8月31日、防衛省のサイトより)

 中国海軍シュパン級測量艦1隻が2024年8月31日午前4時47分頃、鹿児島県口永良部島西の接続水域を東進し、同日午前6時00分頃、口永良部島南西の領海に入った。

 その後、午前7時53分頃、鹿児島県屋久島南西の領海から出て、南に向けて航行した。

 測量艦の領海侵犯は、中国軍情報収集機(スパイ機)が8月26日、長崎県沖の領空を侵犯した5日後のことだ。

 この艦は、中国海軍の「測量艦」であり、この海域での潜水艦作戦と深く関わっているので、特に注目する必要がある。

 中国軍情報収集機の日本領空侵犯については、JBpress「台風襲来時を狙って日本の領空を侵犯、中国軍情報収集機の狙いとは」(8月30日)、「単なる嫌がらせではない中国軍機の領空侵犯、日米レーダー施設破壊が目的」(9月3日)を参照。

 この測量艦は中国の軍港を出港し、日本の経済水域、接続水域に入り、その後、日本の領海に侵入し、約2時間かけて海中・海底の測量を行った。

 そして、海底の実態を解明しつつ、その海域を通過した。

 中国軍の測量艦が自国の水域ではなく、わざわざ日本の領海に接近し、入り込んで、その海域を調査したのである。

 重要な意図があって実施したと考えるられる。

図1 中国測量艦とその艦の移動経路

出典:防衛省海上自衛隊公表(2024年8月31日)