8月26日、日本の領空を侵犯した中国のY-9偵察機(提供:防衛省/AP/アフロ)

長崎県近海の領空に

 8月26日夕刻、防衛省が中国に関して突然の発表を行い、日本全国に緊急ニュースが流れた。

<令和6年8月26日(月)、中国軍のY-9情報収集機が、11時29分頃から11時31分頃にかけて、長崎県男女群島沖の領海上空を侵犯したことを確認した。これに対し、自衛隊は、航空自衛隊西部航空方面隊の戦闘機を緊急発進させ、通告及び警告を実施する等の対応を実施した>

 中国軍機の到来である。過去に中国は、2012年12月13日、習近平体制の「新時代発足」を宣布するかのように、国家海洋局の「Y-12」航空機を尖閣諸島上空(魚釣島南方約15km)に飛ばし、初めて日本の領空侵犯を強行した。12月13日は、中国側が主張する「南京大虐殺」の日で、2014年から習近平主席の意向で「国家公祭日」に指定された。

 この時は、海上保安庁の巡視船が視認し、航空無線機を出して国外退去を要求した。しかし中国機は、「釣魚島(尖閣諸島)は中国固有の領土」を反論しながら、尖閣諸島を上空から撮影した。

 続いて、習近平体制が2期目を迎える直前の2017年5月18日、中国海警局の公船4隻が、尖閣諸島近海の日本の領海に侵入。そのうち1隻が小型無人機を飛ばし、日本の領空(魚釣島西北約14km)を侵犯した。

 だが今回、3度目にして、ついに軍用機が白昼堂々と、日本の領空に侵入してきたのである。しかも、中国側が「自国の領土」を主張している尖閣諸島の近海ではなく、長崎県の近海である。