考え得る5つの説

 本稿を執筆している28日現在、中国側の意図は不明だ。だが考えられるのは、次の5点ではないか。私見だが、現時点で可能性があると思われる順に述べる。

① 誤って侵入した

 これは、昨日確認を取った自衛隊の関係者が述べていた説だ。

「現在の上空は、ウクライナ戦争を見ても分かるように、無人機全盛の時代で、偵察目的でも無人機が多用されている。だが無人機を飛ばすには、前提となる正確な航空情報が欠かせない。どこを飛べばどのように、自衛隊や在日米軍などの動きを、より深く偵察できるかということだ。

 そうした無人機用の偵察の中で、意図せず日本の領空を越えてしまったのではないか。その証拠に、日本側の警告を受けたとたん、直ちに領空を離れている。その間、わずか2分だった」

 たしかに、前述の27日の林剣報道官の回答を見ていると、何とも歯切れが悪い。20分の定例会見を終えようとしていたら、最後にNHKの記者がダメを押してきて、うざったそうに答えていた。少なくとも、中国外交部も含めた「中国政府としての総意による領空侵犯」ではなさそうな様子だった。