もしも意図的に侵入したとすると…

② 日本側を舐めてかかった

 周知のように、日本は現在、政権交代の移行期にある。岸田文雄首相が退陣を表明してから、次期政権が発足するまでの「空白の1カ月」を狙って、中国軍が日本側を舐めてかかって挑発行為に及んだ。

 そう言うと、さも意図的に挑発したかのようだが、意図的でなくても、潜在的に舐めてかかっている場合がある。「ひょっとしたら日本の領空に入ってしまうかもしれないが、いまの日本なら平気だろう」というわけだ。

③ アメリカの政権移行期を狙った

 ここからは「意図的に侵入した」という説に基づく。習近平政権の発足以前、人民解放軍のある退役将軍から、こんな話を聞いた。

「わが軍から日本を見た場合、最も注視しているのは在日米軍の動向で、自衛隊の動向は二の次だ」

 そうした観点に立てば、現在はアメリカのジョー・バイデン大統領も「レイムダック状態」に近く、政権の移行期である。そのため、来年1月にアメリカで新政権が発足する前に、たとえ日本の領空を侵犯することはあっても、できる偵察行為はやってしまおうと判断した。