2.作戦海域の海中・海底調査が目的

 今回は、自国の経済水域や領海内を調査するのではなく、日本の領海に入って調査していった。

 まさに、スパイ艦の行動である。

 中国は、測量艦をなぜ、日本の領海内を航行させたのか。

 中国の軍艦が水上を航行する場合は、測量艦の調査データは必要ない。また、潜水艦がこの海峡を浮上して通過する場合にも必要ない。

 しかしながら、潜水艦が水中を静かに潜航して通過する場合には、水深や海底の詳しいデータが必須なのである。

図3 中国の潜水艦が日本の領海(海峡)を通過するイメージ

 日本国内で販売されている海図を見れば、それぞれの位置に水深などが記載されている。

 そのデータは、常に最新の情報が記載されているわけではない。海底は海流によって地形が変化する可能性がある。

 潜水艦が他国を潜航して通過するには、その国の海図のデータだけでは不十分であり、最新の詳細なデータが必要なのである。