史上最強の軍事同盟、本家「NATO」とは?
9月27日に自由民主党の新総裁に選出された石破茂氏は、10月1日の臨時国会での指名で、第102代内閣総理大臣に正式就任する。
石破氏は防衛庁長官や防衛大臣を歴任。自他ともに認める安全保障通で、ずばり『国防』(新潮社)と銘打つ書籍をはじめ、ミリタリー関連の著書も多数出版している。大臣室を戦闘機や軍艦など多数の兵器模型で飾るほどの「軍事オタク」でもある。戦後の首相の中でもっともミリタリーに精通する人物と言って差し支えないだろう。
こうしたことから、石破氏が以前から提唱する「アジア版NATO」がにわかに人気キーワードとして急上昇。マスコミ各社も注目するが、果たして実現は可能なのだろうか。
そもそも本家のNATO(北大西洋条約機構)は、第2次大戦終結直後の1949年、超大国アメリカを盟主にカナダや西欧の自由・資本主義国(いわゆる西側陣営)二十数カ国が大同団結した「史上最強の軍事同盟」である。
共産・社会主義を掲げ、西側とイデオロギー的に敵対する旧ソ連や東欧諸国、いわゆる東側陣営の軍事的脅威に対抗するのが、旗揚げの主たる理由だ。加えて当初は、先の大戦を引き起こしたドイツの軍事的台頭を抑え込む意味も込められた。
その後旧西ドイツなど加盟国が増え続け、2022年にロシアによるウクライナ全面侵略が勃発すると、親西側ながら長年中立政策を堅持していた北欧のフィンランド、スウェーデン両国もNATOに傾き、現在32カ国の大所帯を誇る。
最大の特徴は「集団安全保障・集団的自衛権」の行使を明確にする点だ。