
アメリカ、ウクライナ、欧州の「内輪もめ」にも静観のプーチン氏
最終目標は、やはり「ノーベル平和賞」なのか──。トランプ米大統領がウクライナ侵略戦争を早く終わらせようと、侵略の張本人であるロシアのプーチン大統領との停戦交渉実現に前のめりだ。
2月16日には米メディアが、「トランプ政権は4月20日の復活祭(イースター)までに、和平を実現させる意向」とスクープし、世界中がどよめいた。
トランプ氏は以前、「大統領に復帰したら24時間で停戦だ」と豪語。その後「6カ月は欲しい」とトーンダウンさせた経緯があるだけに、「今回もお得意の大言壮語では? あと2カ月で本当に実現できるのか」と、冷ややかな声は多い。
2月12日、トランプ氏はプーチン氏と電話で会談し、近い時期にサウジアラビアで初の和平交渉を米露2カ国だけで行うと断言。18日には米露の高官協議が行われた。この動きと連動して、14~16日にはドイツでミュンヘン安全保障会議が開幕。バンス副大統領などトランプ政権の重鎮たちが出席した。

中心議題はもちろん停戦交渉だが、トランプ政権内部で意思統一が不十分なのか、あるいはロシア側をかく乱するための心理戦なのか、米高官たちの発言はちぐはぐで、朝令暮改を繰り返した。
しかもトランプ政権側は、あくまでも米露2国だけで和平交渉を主導し、戦争当事国のウクライナや欧州は「蚊帳の外」という方針を崩していない。このため、ミュンヘン安保会議は西側陣営のアメリカ、欧州、ウクライナ3者の内輪もめを露呈する始末。狡猾で残忍なプーチン氏との交渉を前に、「欧米間の深刻な亀裂」をさらけ出す格好となった。

だが、旧ソ連の情報機関KGB(国家保安委員会)の諜報部員だったプーチン氏は静観したままだ。
「バラエティ番組の元司会者で視聴率命のトランプ氏に、元人気コメディアンで芝居上手のゼレンスキー・ウクライナ大統領、そして外交戦術に長ける老獪な欧州の3者による、自分を油断させるための高度な茶番劇だと疑っているのかもしれない」(米報道関係者)との見方さえ出ている。
