教員を配置できないグダグダの教育委員会
──「教育委員会が(代わりの先生を)探しても、いないって言うんですよ。こっち(学校側)が探さないとどうしようもないでしょうが」と言っていた大阪の小学校の校長先生のエピソードが書籍中にありました。なぜ教育委員会は教員の配置という自らの仕事を放棄してしまっているのでしょうか。
氏岡:教育委員会も、先生を探してはいるはずです。ただ、見つからないから学校側に探してくださいとお願いをすることは、任務を果たせていないと言わざるを得ない。
いよいよ見つからなくて、教育委員会が校長先生に学校で探してほしいとなるケースはこの小学校に限った話ではありません。ただ、校長先生が自分で探した方が早いと思ってしまうことも問題です。
先ほどのおじいちゃん先生ではないですが、教育委員会が探した先生が本当に良い先生であるという保証はありません。自身の人脈を駆使して探した方がハズレがないと思っている校長先生も少なくないかと思います。
1回学校にお願いをしてうまく先生が探せてしまう。何とかできるという先例ができてしまう。そうなると、教育委員会も探しはする。しかし、どこかで学校側が何とかしてくれるのではないかという淡い期待を持ってしまう。
──2021年、文部科学省は臨時教員等の不足状況を把握する目的で「『教師不足』に関する実態調査」を実施しました。この調査によって、何が明らかになったのでしょうか。
氏岡:「『教師不足』に関する実態調査」は、2021年5月に、文部科学省が67都道府県・指定都市教育委員会及び大阪府豊能地区教職員人事協議会(計68)を対象として実施されました。調査対象は、教員を配置する責任のある全国機関です。
この調査では、まず全国の公立の小中学校と高校、特別支援学校の4.8%の学校が、2021年5月1日時点で本来配置するはずの人員を満たしていなかったことがわかりました。
調査では、教員不足に至った理由についても、教育委員会に確認しています。まずは、需要側、つまり非正規の先生が必要な学校側の要因から見ていきましょう。