教員不足に関するデータがそもそもない

氏岡:永岡氏は、都道府県と政令指定都市の教育委員長を集めた会議で、正規職員の採用数の目標値を設定するよう言及しました。これにより、各教育委員会も正規職員の採用数について真面目に検討せざるを得なくなったと思います。

 一方で、これまでさんざん非正規教員を雇いやすくしていたのは誰だ、その反省はどうなっているのかと私は感じています。義務教育費国庫負担制度も、相変わらず非正規教員が雇いやすいもののままです。今さら元に戻せないというところが政治の難しいところだと思います。

──教員不足を根本から解決するためには、誰が何をすることが必要なのでしょうか。

氏岡:教員不足の研究は、まだまだ未発達な領域です。非正規教員がどのように動いているのか、教員免許不合格者のうちどの程度の人が民間企業に就職してしまっているのかなど全くもって不明です。

 最初にデータを集めてから政策を考えなければなりません。今までは、データ収集が圧倒的に不足した状態で政策が作られていたというところが教育分野の大きな問題でした。

 2021年に文部科学省が「『教師不足』に関する実態調査」を実施したことは先ほど述べた通りです。ただ、次に調査を実施するか否かはまだわかりません。継続的に調査を続けなければ、真の解決策となる政策の実現は難しいでしょう。

 一方で、私は学校も悪いと思っています。保護者は、ほとんどこの状態を知りません。先生たちは保護者に実情を説明するべきです。そこからしか始まらないと思います。しかし、今の風潮では、保護者からのクレームなどを恐れて学校側から保護者に困りごとを発信することが難しい。

 是非、保護者の方、地域の方はご自身が住んでいらっしゃる地域の学校の先生に何か困りごとはないか聞いてみてください。