売上高8兆円、営業利益率10%の大胆目標

 次世代技術の詳細については昨年7月、「10年先を見据えた技術戦略」について報道陣向けに説明会を開いており、筆者は電動化などについて開発幹部らと意見交換をしている。

記者発表を行う、スズキの鈴木俊宏社長(写真:筆者撮影)

 そうした技術と事業の具体的な方向性を新中期経営計画で示したのだが、記者会見の会場で鈴木社長の生の声を聞いて、筆者が感じた期待と不安を紹介したい。

 最も大きな期待は、企業価値の向上により、スズキが「もっと儲かる企業」に変わることだ。

都内で開催された、新中継経営計画発表会場の様子(写真:筆者撮影)

 2031年3月期に売上収益8兆円、営業利益8000億円、ROE(自己資本利益率)13.0%を目指すとした。24年3月期は営業利益が4656億円でROEは11.7%だったことを考えると、野心的な目標といえる。さらに、2030年代前半にはROE15.0%以上を目指すという。
 
 また事業別の営業利益を見ると、四輪事業(販売台数420万台、営業利益7000億円)、二輪事業(254万台、500億円)、マリン事業(350億円)となる。新事業は売上収益500億円を目指す。

 新事業とは、「空飛ぶクルマ」や完全自動運転などの公共交通サービス、小型商用モビリティ、そしてバイオガスや蓄電池によるエネルギー関連事業を含む。

 では、主力事業である四輪事業の詳細を見てみる。