
(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
最近、日本で「アメ車」のイメージが変わってきた。
アメ車といえば、ボディサイズが大きく、またエンジン排気量も大きいが、乗り味は大味。そんな昔ながらのイメージを持っている人がいるかもしれない。
また、第2次トランプ政権がアメリカに輸入される自動車に25%の関税を課すと脅していることに関連して、アメリカが主張する日本の非関税障壁に紐づけて「なぜ、日本ではアメ車が売れないのか?」といったニュースがネット上で話題になることもある。
一方で、日本でアメ車の新規購入者が増えているという話もある。
実のところ、日本でのアメ車は今、どのような状況なのだろうか。試乗した体験を交えながら紹介する。
ボルボに迫るジープの人気
まずは、日本でのアメ車の販売状況から見ていこう。
日本自動車輸入車組合(JAIA)によれば、2月の輸入車ブランド別新規登録台数は、メルセデス・ベンツが3590台、フォルクスワーゲンが2836台、BMWが2783台とトップ3をドイツメーカーが占める。
そうした中で、9番目に位置するのがアメ車の代表格「ジープ」(732台)だ。8番目のスウェーデンのブランド「ボルボ」(900台)に迫る勢いである。
「ボルボ並みにジープが売れている」という事実に驚く人もいるだろう。
では、なぜそんなにジープが売れているのか?

理由は、オシャレ感覚で街乗りする「ファッションカー」として広い世代に支持されているからだ。ジープで過酷なオフロード走行をする人は、日本では稀である。
実際に人気モデル「ラングラー ルビコン 4xe」に乗り込んでみた。
全長4870mm×全幅1930mm×全高1855mmというサイズ以上に、クルマとしての存在感が強い。
そこには、メルセデス・ベンツ「Gクラス」、トヨタ「ランドクルーザーシリーズ(70/250/300)」、そして発売4日で約5万台を受注し、キャパオーバーで受注を一時停止したスズキ「ジムニーノマド」などに通じる商品性を感じる。本格的な四輪駆動車としての「もしもの場合の安心感」や「冒険に出かけたくなるようなワクワク感」である。
パワートレインは、直列4気筒2.0リッターターボのプラグインハイブリッド車。
四輪駆動を意味する「4×4 (フォー・バイ・フォー)」と電動化をかけ合わせた「4xe (フォー・バイ・イー)」を商標化した。
走り味としてはモーターの力でグイグイ加速するという感じではなく、クルマ全体の動きの中でほどよくバランスを保っている印象だ。
ハンドリングはオフローダーというジープというクルマの性格上、緩めかつ軽めだが、運転操作とクルマ全体の動きとの間合いをドライバーが分かってくると、街乗りで扱いやすいと感じる。