「稼ぐ力」を強化

 今後の市場変化を考えると、エンジン車に比べてコストが高い電気自動車(EV)のさらなる増加や、労務費の上昇、原材料の高騰が続くと予想されるが、それでも「稼ぐ力」を強化する。

2031年3月期には、売上収益8兆円、営業収益8000億円(営業利益率10%)、ROE13.0%を目指す。記者発表時の投影画像(写真:筆者撮影)

 具体的な戦略としては、四輪事業では国や地域のエネルギー事情に合わせて、EV、ハイブリッド車、ガソリン車などを柔軟に供給できるマルチパスウェイ戦略の精度を上げる。

 例えば、日本の乗用車市場では、2030年度までにEVを20%、残り80%をハイブリッドにする。会見会場では、インド生産の「e VITARA (イービターラ)」が展示された。同モデルは日本にもインドから輸出される予定だ。

 主力の生産拠点であり輸出拠点でもあるインド市場では、EV15%、CNG(液化天然ガス)などで35%、ハイブリッド25%、そしてエタノール混合燃料などで25%を想定している。

 欧州では、EVが45%と高く、ハイブリッドが55%を見込む。

 ただし、鈴木社長はEV関連など国や地域での環境政策に基づいて「市場環境は混沌としている」として、常にアンテナを張って市場変化を察知しながら、柔軟に事業を修正できる体制を敷くとした。

 販売台数で見ると、2030年にグローバルで420万台と、2024年3月期の316万台から約100万台を上乗せする。

 最重要市場のインドでは、シェア50%を目指す。

 また、インドからは南アジア、東南アジア、中南米、アフリカ、中東などグローバルへの輸出をさらに強化する。生産台数ではインドだけで400万台を目指し、このうちインド国内向けが300万台、輸出向けが100万台となる。