第2世代のデリカミニ。第1世代とはフェイスの面積が大きく異なるが、人気の原動力だったオフロード車風エクステリアデザインのイメージを上手く継承している(筆者撮影)
(井元 康一郎:自動車ジャーナリスト)
クロスカントリー4×4的な特徴が顕著になった新型「デリカミニ」
10月29日に発売された三菱自動車の軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」の第2世代モデルを短時間、ロードテストする機会を得たので、ファーストインプレッションをお届けしたい。
本題に入る前にデリカミニというモデルについて少しおさらいしておこう。第1世代がデビューしたのは2023年5月。スーパーハイトワゴン「eKクロススペース」が販売不振に陥っていたことから、ヘッドランプ、バンパーなど簡単に変更可能な部分のデザインをリメイクしてオフロード車風に仕立て直し、同時に歴史あるオフロードワンボックス「デリカ」の車名を与えた。
鋼板部分や内装には手が入れられず、メカニズムも変更なし。デザイン以外の変更点はAWD(4輪駆動)のみサスペンションチューニングがオフロード向けに柔らかく変更され、タイヤの大径化で最低地上高160mmを確保したことくらい。
いわば苦し紛れの一手だったが、リリースするやスーパーハイトワゴンの中で最も高価格であるにもかかわらず大売れ。バックオーダーを解消できない状態が延々と続いた。
好調なモデルはむやみにいじらないのが自動車ビジネスのセオリーで、三菱自動車としてもそのモデルでしばらく稼ぎたかったところだろうが、登場から2年半でフルモデルチェンジを余儀なくされた。
兄弟モデルの日産自動車「ルークス」が思うように販売を伸ばせなかったことから、いまどきの軽スーパーハイトワゴンとしては短い5年のモデルライフで全面刷新することになったためだ。
せっかくの良い流れを第2世代でも維持できるかどうか。ロードテストは1時間、走行距離にして30km強という限られたもので、クルマの特性をすべてつかむことは難しかったが、第1世代の良いところ、悪いところとの差分に絞って観察してみた。
まずは第2世代の全体的な印象だが、よりオフロード車としてのキャラクターを深化させたというものだった。
第2世代「デリカミニ」のフロントビュー。フロントウインドウが寝ていた第1世代とはフォルムが異なる(筆者撮影)
デリカミニは車体構造、駆動システムとも純粋な乗用車のものでヘビーデューティ用途ではないが、フィールとしてはクロスカントリー4×4的。第2世代はその特徴がより顕著になったと言える。
それとのトレードオフで失われたものもあったが、人気だった第1世代の特色を継承しながら新しさを訴求するという観点では非常にまとまりの良いクルマと言えそうだった。では、要素別に特色を紹介していこう。