Honda e AdvanceHonda e Advance(鹿児島・長島にて、筆者撮影)

 ホンダ初の本格的なリテール向け電気自動車として2020年10月に登場した「Honda e」が、今年1月をもって生産終了することとなった。短いモデルライフで消滅することは、フル電動化宣言をしているホンダにとっては手痛い失敗ともいえるが、はたして敗因は何だったのか。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が、計1万4000km以上にわたるロードテストで得られた知見を交えつつ考察する。(JBpress編集部)

>>これが見納めの「Honda e」(写真全20枚)

販売台数が振るわず存在感を示せなかった「Honda e」

 2020年に欧州、日本で発売されたホンダ初のリテール向けバッテリー式電気自動車(BEV)の「Honda e」。それからわずか3年あまり後の2023年12月、ホンダはあえなくディスコン(モデル廃止)を宣言した。

Honda eは全長3.9mのショートボディ。90年代の欧州ハッチバック車を思わせる凝縮感の高いフォルムだった(筆者撮影)
グラストップの継ぎ目が見えない1枚ルーフ。デザイン性の良さは完璧に近かったのだが…(筆者撮影)

 販売実績は振るわなかった。カーシェアなどのフリート販売も含めた3年間の累計販売台数は日本が約1800台、欧州が約1万台。この台数では存在感を示せるはずもなく、今日でも路上で見かけることはほとんどない。

 ホンダはCO2排出量ゼロにカウントされるHonda eを売ることで欧州のCO2排出ペナルティを回避しつつ、BEV後発組のホンダが描く電動化の未来像を世界に示したいとしていたが、半ば忘れられたまま消滅することとなった。

 あっけない幕引きではあるが、その気配は早くからあった。

 今年5月にプラグインハイブリッドカーの「クラリティPHEV」が登場した2018年から提供してきた独自の充電サポート「ホンダチャージングサービス」を2025年までに終了させるというスケジュールを公表したからだ。

 2040年までに内燃機関を終了させるという急進的な電動化計画を推進するホンダの三部敏宏社長はその計画にいささかも変更はないと強気だが、ホンダチャージングサービスの対象となるクラリティPHEV、Honda eが相次いで敗北を喫したことで、社内ではゼロからの仕切り直しに近い変化が起こっているものと推察される。