トランプ氏に対する共和党議員の本音

ボルトン:多くの議員は親密さを演出して、敵対関係になることを避けています。でも、実際には共和党の多くの議員は(新自由主義的で強いアメリカ、小さな政府を推奨する)レーガン主義の伝統を踏襲しています。

 トランプが政界から去った後には、共和党はこの路線に回帰するでしょう。世界を取り巻く状況は変化してきていますが、共和党の基本的な方針はレーガン主義です。トランプは哲学を持たない人間です。彼の影響力はやがて消えていくでしょう。後に何も残らないのです。

──日米関係はどうなっていくと想像されますか?

ボルトン:トランプ政権は同盟関係以上に、貿易における関係を問題にしていくでしょう。ただ、正直トランプがどう出るのかは全く分かりません。彼は口を開くたびに言うことが変わるのでね。

 ある日は「あらゆる国から来る輸入品に10%の関税だ」と言い、「やっぱり20%だ」と言い、次に「メキシコやカナダからの輸入品には25%の関税を」「中国には60%の関税を課す」と言い始める。

 彼にとってはいつものことですが、矛盾だらけのいろんな提案を次々口にします。就任式を経て、具体的なことを記載するまで何が本当か分かりません。

 ただ、欧州連合は報復措置を以前より真剣に講ずると思います。カナダ、メキシコ、中国も、報復措置について語っていますし、日本や韓国も対応を検討している。

 ですから、トランプが関税を打ち出したら貿易戦争に発展するリスクはとても大きい。緊張感を持って避けられてきた貿易戦争がついに勃発するかもしれないのです。

第一次トランプ政権でトランプ氏と衝突したボルトン氏(写真:REX/アフロ)第一次トランプ政権でトランプ氏と衝突したボルトン氏(写真:REX/アフロ)