トランプ発の貿易戦争はどれだけリアリティがあるか?
──トランプ氏は、貿易とは関係のない理由(不法移民や麻薬の流入)でメキシコやカナダに関税をかけると言っています。このやり方に関してどう思いますか?
ボルトン:とても漠然とした主張だと思います。彼が言うような関税を、貿易とは関係ない理由で課すことができるのかどうか、その法的な権限があるのかさえよく分かっていません。
確かに、国際緊急経済権限法(IEEPA)(※)という法律があり、議会を通すことなく大統領は関税措置を発動できます。ただ、トランプはそれを実際に使用したことはありません。
仮に、そのような強引な関税措置を発動した場合、必ず批判が巻き起こり、そのような関税措置が可能なのかどうかという議論が始まります。裁判を通して長い審議が行われることになるでしょう。
※国際緊急経済権限法(IEEPA):米国の経済、外交、安全保障に関する重大な脅威が生じた際に、非常事態宣言後に、金融制裁をもって、その脅威に対処することを定めた法律。
──米国が各国からの輸入品に関税をかければ、米国は孤立し、中国につく国も増えるのではないでしょうか?
ボルトン:そういうリスクはあると思います。もし本当に米国が輸入品に一律20%の関税などを課せば、中国にとっては大きなチャンスになるでしょう。
──トランプ氏の組閣をここまで見て、どんな印象をお持ちですか?
ボルトン:いい人選もあれば、ひどい人選もあり、どちらとも言えない部分もあります。一つ明確なことは、どういう哲学や履歴を持っている人かはさておき、トランプは自分に対して高い忠誠心を表明する人物を選んでいるということです。
彼は第一次政権で、そのような忠誠心を持った仲間を集めることができなかったことを自分のミスだと考えています。同じことを繰り返したくないのでしょう。でも、こうした人選は、彼のためにも、ましてや米国のためにもなりません。
──いい人選もあれば、ひどい人選もある。具体的には、誰のことをおっしゃっていますか?