2025年1月、ついに第二次トランプ政権が発足する(写真:ロイター/アフロ)2025年1月、ついに第二次トランプ政権が発足する(写真:ロイター/アフロ)

 トランプ次期大統領の就任式が20日に予定されている。就任前から、待ちきれないと言わんばかりに自身のソーシャルメディアで過激な挑発や提案を放つ次期大統領は、果たしてどんな政権運営をするのか。第一次トランプ政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官を担うも、トランプ氏と激しく対立して決裂したジョン・ボルトン氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──トランプ氏が大統領選に勝利しました。どんな感想ですか?

ジョン・ボルトン氏(以下、ボルトン):私は、そもそもどちらの候補者(トランプとハリス)にも満足していませんでしたから、投票するときには「マイク・ペンス」と書きました。

 トランプ政権の再来は、彼の一期目の再来を意味します。トランプは常に言動が予測不能です。彼には哲学もなければ、安全保障の戦略もなく、伝統的に理解されてきた政策の感覚もありません。

 彼はいくつかの優先事項を挙げていますが、その中には関税措置があり、貿易戦争の可能性をはらんでいます。同盟国との間にさえ、こうしたリスクがあるのです。今期の関税措置は、一期目よりも大きな内容になる可能性があると思います。

──トランプ氏にはさまざまなスキャンダルがあるうえに、2020年の大統領選では落選もしたのに、今回の大統領選で再選しました。なぜあれほど人気があるのでしょうか?

ボルトン:一部彼のことを強く支持する人たちがいることは事実ですが、彼が今回の大統領選で勝利できたのは、米国で起きているインフレへの反動に他ありません。

 第一次クリントン政権の選挙コンサルタントだったジェームズ・カービルが、先日、ニューヨークタイムズに書いていましたが、民主党は経済政策が下手過ぎる。人々が日々の食材やガソリン価格の高騰に悩んでいるのに、十分な対策を提示できませんでした。

 加えて、米国は基本的に中道右派の国です。トランプはずっとこの路線に沿っています。カリフォルニア的な左派のハリスでは勝てません。

──共和党がトランプ氏に乗っ取られているように見えます。共和党の中でトランプ氏を支持している議員たちは、本心からトランプ氏を支持していると思いますか?