「利上げは0.75%まで」がメインシナリオ
ちなみに、日銀が定期的に公表する「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」は既に複数の計数で2%を割り込んでいるため(図表③)、2%弱というインフレ率は現実的な想定とも言える。
【図表③】
まとめると、インフレ率2%を前提とすれば1%までの利上げは辛うじて正当化されるが、それ以下のインフレ率を前提とするのであれば0.75%までの利上げにとどめるという想定にも理はある。
筆者はメインシナリオでは0.75%まで、順当に事態が進んだとしても1.00%が限界と予想する。FRBの「利下げの終わり」が見え、海外環境の追い風もあるのだとすれば、その程度までの利上げは不思議ではないように思う。
では、日銀の利上げが1.00%にとどまらず1.25%や1.50%、果ては2%へ急騰していく可能性はあるのだろうか。
もちろん、日本経済の自然利子率が思ったよりも高く、例えば+0.5%程度までを想定すれば、2.5%程度までの中立金利も正当化される。しかし、そこまでの利上げが行われる場合、「思ったよりも日本経済が強く、自然利子率が高い」という前向きな状況ではなく、より追い込まれた状況ではないか。
2025年の政策金利が1.00%以上でも持続していた場合、それは今よりもさらに通貨防衛色の濃い政策運営に移行した場合である。
これは検討に値するリスクシナリオでもある。